太極拳の健康効果1~筋力アップ
太極拳をやってよかったことのひとつは、下半身の筋力がアップしたことです。寝たきりになる主な原因は、脳卒中が第1位(約20%)、大腿骨頚部骨折が第2位と言われています。骨折につながるような転倒を防ぐためには筋力(特に太もも前、お尻、太もも後ろ、ふくらはぎ)をつけること、バランス力と柔軟性(特に股関節まわりの)をつけることが大切だそうです。
太極拳の動作はゆっくりですが、下半身の筋肉に負荷をかけ続けるので、筋力アップが図れます(スロー筋トレ)。
スロー筋トレとは
軽い負荷でも筋肉に負荷をかけ続ける運動をおこなうと、筋肉内の血流が制限され酸素不足になり、ハードな筋トレと同様に筋肉が張った状態になります。そこで脳が激しい運動をした時と同じように、筋肉の発達を促し新陳代謝を高める成長ホルモンを分泌します。その結果筋肉は太くなります。
成長ホルモンは、組織を成長させ新しくし、体を動かすために大切な腱や靭帯、骨を丈夫にします。骨粗しょう症の予防になります。また、新陳代謝を高める効果もあると言われています。(参考:ためしてガッテン2008年10月29日放送)
太極拳の健康効果2~脳を刺激する
太極拳の動作は難しいのでは?と質問を受けることがあります。確かに最初は難しいです。基本の歩法を身につけるだけでも時間がかかります。四肢のうちひとつだけなら真似できても、両手両足の動きを真似しようとすると脳力の限界を超えます。最初は歩法(足の動き)を覚え、次に手の動きを覚え、それから胴体の角度を確認し、両手両足のタイミングを意識し・・、そうやって少しずつ正確な動作を身につけていきます。できないことも楽しんで、繰り返し練習しているといつかはできるようになります。私も覚えるのは苦手です。急いで覚える必要はありません。
太極拳の動きはゆっくりなので常に自分の体の動きに意識を向けることができます。「こういう動きをしたい」と思っても思うようにできず、どうしたらできるのかわからないことがよくあります。筋肉と筋肉に指令を与える脳神経細胞がつながっていない感じがします。「どうしたらできるのか」と考えながらやっていると「あ、そうか!」とできる時があります。翌日にやってみると簡単にできることもあります。そんな時、今までつながっていなかった脳神経細胞がつながった感じがします。繰り返し練習し動作が身についた時には脳神経細胞が太くなっている感じがします。
太極拳を続けていると動作を真似る能力が高まります。真似るというのは対象の動きを認知し、同じように自分の四肢をコントルールすることですよね。脳のいろいろな部分を使います。太極拳は、体力作りだけでなく脳トレとしても有効です。
太極拳の健康効果3~血流促進
長時間同じ姿勢をとり続けていると、血行が悪くなってエコノミー症候群になったりしますよね。筋肉を動かすと、血管が収縮しポンプのようになって血液が流れ、 血流が促進されます。私は全身にきれいな血液がサラサラ流れている状態なら病気とは無縁ではないかと思っています。血液の流れをよくするには身体を動かすことが一番!下半身には全身の3分の2以上の筋肉が集まっています。足の筋肉を使うと血管が収縮弛緩し(心臓のようにポンプの役割を果たし)血流を促すので、「足は第2の心臓」と言われています。
太極拳は中腰で体重移動をしながら足の曲げ伸ばしを行います。太極拳は特に体の一番大きな筋肉である太ももの筋肉を使うので、全身の血流が促進されます。また胴体をひねりながら体を動かすので、胴体部分の血流も良くなります。動作を意識しながら四肢を動かすので脳の血流もアップします。
太極拳では股関節を緩め力を抜いたリラックスした姿勢でゆっくりと体を動かすので、血圧も上がりません。
身体の隅々にまで血液を流すため毛細血管が身体中を取り巻いています。毛細血管は細胞や臓器に酸素や栄養を届け、老廃物を回収しています。毛細血管は、ちょっと負荷のある有酸素運動をすることで増えると言われています。太極拳を行うと毛細血管も発達しますので、身体中の隅々にまで血液がめぐるようになります。